山薬(山芋)の主たる有効成分
山芋(ヤマノイモ)は、滋養強壮、止瀉(下痢止め)、鎮咳(咳を鎮めること)などに効果があるとされ、山薬の名で漢方の定番素材として紀元前より利用されています。
漢方の山芋;山薬は、ジオスゲニンのような天然のステロイド化合物を含んでいることが確認試験として日本薬局方で定められており、ほとんどが中国産の長芋(Dioscorea opposita)が用いられています。山薬の主たる有効成分の1つがジオスゲニンなのです。
山芋の中にはジオスゲニンに糖が複数結合したジオスゲニン配糖体(ジオスチンなど)として存在し、配糖体は胃酸などで糖を切ってジオスゲニンに変換することで生体利用されています。
ジオスゲニンとは
このジオスゲニンは、性ホルモン(エストロゲンやテストステロンなど)や免疫ホルモンなどの前々駆体(中間体のDHEAの前駆体)のステロイドサポゲニンです。それらホルモンとも類似した構造を持っています。ジオスゲニンの毒性は非常に低く、ホルモン異常のような重篤な副作用も確認されていません。
その体内動態までは解明されていませんが、ジオスゲニンの摂取により、閉経女性のDHEAやエストロゲンの値が上がったという報告もあり、性ホルモンの産生力アップの効果が期待されます。そのため、副作用の可能性が極めて低い安全な植物性ホルモン素材して、日本では認可されていないDHEA代替素材の1つとしても活躍しています。
なお、ジオスゲニンは、山芋抽出物(根茎の抽出物)としての食品用途への利用が可能です。山芋の根は、医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リストに記載されています。
ただし、非医薬品リストに掲載されている原材料からの抽出物であっても、医薬品成分に該当する可能性があります。例えば、ジオスゲニンの高含有品(東京都の指導では目安として20%以上)している原料は、医薬品成分に該当する可能性があります。